紛争の内容
遺産分割により取得した土地の、無償使用関係を解消するために、共同相続人同氏が協議していたが、一向にらちが明かないため、民事調停申立ても視野に入れ、当該土地の公開、買取、共同売却などを提案し、解決を図る交渉をするというご依頼。
交渉・調停・訴訟などの経過
(1)本件不動産の状況
依頼者所有土地は、亡父の相続により取得した関東近県の一筆の土地。同土地と隣地の上には、一戸建て住宅があり、隣地土地とこの一戸建て建物を共同相続人である相手方が取得。
共同相続人ある両名も、高齢になり、将来の自身の相続を見据え、売却処分も事実上不可能な、本件土地の無償使用関係などを解消したいと相談され、依頼を受けました。
(2)相手方に対する提案・説明
依頼者は、所有土地を売却するために、土地の一部に設けた相手方のカーポートを撤去してもらいたいと提案しましたが、協議は進行しなかったと聞いていました。
そこで、依頼者の土地にある相手方のコンクリート造りのカーポートを維持したままで、その部分を分筆し、相手方に取得してもらうと共に、相手方の隣接土地の一部を取得することを考えました。
つまり、当該部分と、相手方土地の一部をそれぞれ分筆し、交換することで、不動産譲渡所得税の交換特例の適用を受けるとともに、依頼者が土地売却することが可能となる土地を形成するという、その手法を提案しました。
また、大手の事業者により開発された古い住宅地で、被相続人はその2件分を取得していましたので、現在では、その二筆の土地には4件の建物は立つこと、よって、全部を共同売却し、売却金を分配することも第2案として用意していました。
年配の相手方でもありましたので、代理人弁護士が相手方の自宅に赴き、ご説明しました。
(3)相手方からの買取の返答
上記の交換の方法による場合の、測量費用、分筆費用、交換の登記手続費用を当方依頼者が負担することも提案しましたところ、検討したいので1か月の時間が欲しいとのことで、了承し、返答を待つことにしました。
訪問説明に伺って1週間と経たずに、相手方から連絡があり、当方依頼者の土地を購入したい。ついは、買取額については相談があるとのことでした。
(4)不動産売買による解決
当初は、撤去してくれないカーポートを維持したままで、依頼者の土地を売却するために、分筆土地の交換提案でしたが、相手方が土地を購入するという願ってもない提案でした。
そこで、当方依頼者とともに、売渡金額を検討しました。
固定資産評価額も確認し、せめて、路線価格で購入していただきたいこと、そして、協議を申し入れた2023年から2年以内、つまり2025年内には決済に至りたいことなどを打合せ、相手方に提案しました。
(5)代金額の交渉、売買契約書の締結
双方当事者ともに高齢であり、買い手において相続が発生する懸念もあり、また、相続が発生した場合には、配偶者と第3順位の相続人である当方依頼者という関係がありましたので、2025年内に解決したいと希望したものです。
購入予定者は高齢であり、年金生活者であることから、購入代金の借入は困難と見込まれました。
相手方より、当方提案額では高額であり、ぜひとも、固定資産評価額で願いたいこと、それも、切りの良い数字(数額)にしてもらいたいとの要望がありました。
当方依頼者は、端数のカットは承知したと回答しましたところ、さらに値引きを求められ、結果、固定資産評価額を少し下回る金額で合意し、売買契約書を持ち回りで整えました。
本事例の結末
代金決済と所有権移転登記手続の関係で、相手方には司法書士が就任しました。
当初、年内の所有権移転登記の完了を見るために、代金決済時期を11月中、遅くとも12月初旬にできないかと協議してきましたが、相手方は、年内の所有権移転は完了させるからとして、結局、12月22日を代金支払いの予定日となりました。
その後、少し早まるとの連絡があり、12月19日に代金を売主口座に振り込んで支払い、着金確認後、所有権移転登記申請という流れになりました。
無事、決済も済み、また、年明けには、年内に所有権移転登記が完了した旨の、登記完了証が、司法書士から送付を受けました。
本事例に学ぶこと
亡父の遺産分割で、二筆の隣り合わせの土地のうち,一筆を依頼者が取得し、相手方は、もう一筆の土地と、その土地の上の建物を相手方が取得し、依頼者の土地上に、ビルトインタイプのカーポートやスチール製の物置をおいて、依頼者の土地を自由に使用していました。
依頼者は、固定資産税の負担もし、兄弟であるからとして、無償使用を甘受してきました。
しかし、自身の相続を見据え、売却処分したいと相手方に提案しますが、現状を変更したくないと見え、相手方はのらりくらりとしていて、協議は全く進展しなかったとのことでした。
そこで、相談を受け、代理人として就任し、交渉を開始しましたところ、売買契約の成立までは1年内にかない、決済は翌年末に整いました。
現状変更を求める側が積極的に動かないと、解決しないサンプルのようなものです。
親族間の甘えもあり、また、代理人として弁護士に依頼することに躊躇もありましょうが、ぜひとも、まずは相談されることにより、解決にめどが立つことと存じます。
是非とも、当事務所にご相談ください。
弁護士 榎本 誉





