多くの方にとって不動産の売買は非日常的な取引であると思います。
そのような不慣れな取引について自分だけの判断で進めてしまってよいのかとお悩みの方は多くいらっしゃるはずです。
今回は不動産の売却等にあたり弁護士に相談等をすべき場合について解説していきます。

不動産取引と弁護士の関係

不動産取引は、その取り扱う金額の大きさや取引自体の複雑性から大小様々なトラブルが発生する可能性を秘めています。
他方で、法律等において、不動産取引を行う場合に弁護士を介入させなければならないと定められているわけではありません。
そのため、不動産取引に弁護士を関与させるかどうかは個々の判断に委ねられており、当該取引の内容に応じて関与の必要性を検討することになります。

弁護士の関与する場面

不動産取引から生じる問題は様々な分野に及びますが、そのすべてについて弁護士が適任というわけではありません。
税金関係については税理士が専門的な知識を有しており、登記手続については司法書士が専門的な知識を有している等、問題が生じた分野により適切な相談先は異なってきます。

弁護士が適任である分野

不動産取引に関して弁護士が主として取り扱う分野は以下のとおりです。

不動産取引の対象となる不動産の権利関係に起因する問題

ある不動産について売買契約を締結したものの、取引の相手方が当該不動産の実際の所有者ではなかった、当該不動産には別の担保権が設定されており負担なしの不動産を取得できる状態ではなかった等が不動産の権利関係の問題として考えられます。

そのようなトラブルを未然に防ぐためには取引の対象となる不動産の所有関係及び担保関係を事前によく確認しておく必要があります。
不動産の所有関係や担保関係は、法務局で取得できる個々の不動産の登記簿謄本により確認ができますが、権利移転の経過や担保権の設定状況が複雑である場合がありますので、その点を弁護士に取引に先立って確認をすることで権利関係に問題のない不動産であるか否かの判断をすることができます。

事後的に問題が発覚した場合には、他人物売買、契約不適合等を原因とする法律上の責任追及を弁護士に相談の上、検討することになります。

なお、不動産の売買契約後に生じる所有権移転登記手続や担保権抹消登記手続については司法書士に依頼して行うことが一般的です。

不動産取引の対象となる不動産の実体関係に起因する問題

ある不動産について売買契約を締結したものの、登記簿に記載されている面積と実際の面積が異なっていた、隣地との境界が不明瞭であった、欠陥住宅であった、地中に廃棄物が埋まっていた等が不動産の実体関係の問題として考えられます。

そのようなトラブルを未然に防ぐためには取引の対象となる不動産の実際の状態についてよく確認をしておく必要があります。
地歴を調査する、現地に赴いて不動産の状態(外観・内観、境界杭の存否、越境物の有無等)を目視で確認する、地積測量図を確認する、重要事項説明書を確認する等の方法でおおよそのトラブルは回避できるものと思いますが、取引後に問題が発覚することも少なくありません。

事後的に問題が発覚した場合には、物権的請求権、契約不適合等を原因とする法律上の責任追及や境界確定の必要性などを弁護士に相談の上、検討することになります。

不動産売買契約書に起因する問題

不動産取引を行う場合、売買契約書を作成する場合とそうでない場合の双方があり得ますが、多くのケースでは売買契約書が作成されることと思います。
どのような内容の契約書を作成していたかによってトラブルに発展した場合の有利不利が決定されることになりますので、不動産取引において売買契約書は極めて重要な役割を担っています。
売買契約書の作成には手間がかかりますが、将来的なトラブル回避の観点からは売買契約書を2通作成の上、当事者双方が1通ずつ保管するという方式をとることをお勧めします。

売買契約書には、契約当事者の情報、取引の対象となる不動産の情報、売買代金、手付金の有無、売買代金の支払時期・方法、不動産の所有権移転時期・登記手続の内容、契約解除時の処理、不動産に瑕疵が存在した場合の処理、税金の負担、特約事項など様々な情報が盛り込まれます。
取引の相手方が作成した売買契約書に不利な内容が含まれていないのかの確認を弁護士に相談することはもちろん、自身に有利な内容の売買契約書の作成を弁護士に依頼することもできます。

事後的に問題が発覚した場合には、締結した売買契約書の内容からどのような請求が予想され、また、どのような請求が可能かなどを弁護士に相談の上、検討することになります。

不動産取引に弁護士を関与させることのメリット

上記のとおり、不動産取引を行う場合には様々なトラブルが発生する可能性があります。
トラブルの種類が多いということは注意を払うべき事柄が多いということを意味しており、その中には一見してトラブルの原因になるということが分からない事柄も隠れています。

不動産取引に起因するトラブル対応の経験が豊富な弁護士であれば、一般の方が気づかない問題点にも一早く気づくことができ、その気づきを前提に有利な立ち回りを考えることが可能です。
契約段階から弁護士に関与してもらうことで安心して不動産取引に取り組むことができ、売買の相手方の対応に問題があると考える場合には、売買の相手方とのやり取りを一任するということもできます。
弁護士の有するネットワークによっては税金関係や登記関係についてもそれぞれの専門家を都度探すことなく準備することができる場合もあり、ワンストップサービスを受けることが可能です。

弁護士の関与は不動産取引における転ばぬ先の杖になるとともに大幅な省力化につながりますので、不動産取引を行う際には一考の価値があるものと考えます。

まとめ

今回は不動産の売却等にあたり弁護士に相談等すべき場合について解説してきました。
人生における重大な決断になり得る不動産取引について万全の状態で臨む手段として弁護士の関与は有用ですので、現に不動産取引を行っている、また、今後、不動産取引を控えているという方は是非ご検討ください。

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■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 吉田 竜二
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