紛争の内容
 Aさんは、姉であるBと父から相続した土地を共有していました。共有状態のままでは、Aさん一人でこの土地を売却することは出来ないので、Bとこの土地を共有持分に応じて分筆しようと持ちかけました。当初Bは、この分筆に同意してくれていたのですが、具体的に共有持分に応じて分割すると、この土地はいびつな形になってしまい、価値が下がってしまうことが懸念されました。そのことが分かると、途端にBはAさんとの協議に消極的になってしまい、話が全く進まなくなってしまいました。そこで、Aさんはやむをえず交渉事件として弁護士に依頼することとしたのです。

交渉・調停・訴訟などの経過
 Aさんから依頼を受けた当職は、Bに「分筆が出来ないのであれば、Aの持分を買い取ってもらいたい。それも応じられないというのであれば、共有物分割訴訟という裁判になる。そうなれば、最悪この土地が競売になる可能性もある。」ということを説明しました。そうしたところ、Bは不動産業者に相談するようになり、固定資産評価額での計算で、Aから持分を買い取り、Bが全て土地を取得する形にしたいとの希望を出すようになりました。

本事例の結末
 Bからの上記持分買取の提案に関し、Aさんとしても市場価額との差がどの程度生じるかも検討しましたが、訴訟に移行した場合の時間や手間なども考え、Bと交渉で紛争を終わらせることとしました。その後は、固定資産税や各諸費用の負担割合もAさんとBとで公平に定め、弁護士立会の下、決済を行い契約書の取り交わしなどを実施しました。結果として無事土地の共有状態を解消することができたのです。

本事例に学ぶこと
 交渉相手はAさんの姉ということで、今後の関係も続かざるを得ない中で、Aさんの利益が最大限維持できるよう、共有持分の代償金額も設定をすることができました。それに当たっては、相手方であるBに、訴訟になった場合の見込などを合理的に説明できる必要がありました。幸いにも、今回の交渉相手BもAさんも、交渉で争いなく決められる共有物分割の方法(代償分割)と代償金の設定(固定資産評価によるもの)が可能でしたので、この条件を調整することの大切さを痛感いたしました。