紛争の内容
依頼者の方は、不動産物件のオーナーの方です。
何人もの入居者に対して居室を貸していましたが、そのなかに、問題行動のある入居者がいました。
具体的には、共用廊下の部分に大量の私物を放置する、更新手続きをおこなわず更新料を支払わないなどの問題に悩まされていました。
そこで、入居者に対して、簡易裁判所での民事調停を申し立て、第三者を介して話し合いをすることにしました。
交渉・調停・訴訟等の経過
民事調停は、訴訟のように勝訴・敗訴の判決による決着ではなく、話し合いにより問題を解決するという制度です。
民事調停においては、調停委員(弁護士や不動産鑑定士などの専門家のみならず、地域で長年活躍されてきた一般市民の方など、色々な分野での知見を有する方が選任されます)が当事者の話を聞き、問題解決に向けた話し合いをおこないます。
本件では、賃料自体はきちんとお支払いいただいていることから、話し合いで解決することを目指しました。
この件では、賃借人の方も調停に出席し、前向きな話し合いがおこなわれました。
調停委員の仲介もあり、これまでの更新料については一部を分割で支払うこと、また、今後共用廊下には私物を置かないことを調停条項に入れて、合意しました。
本事例の結末
本件では、何度かの調停期日を経て、無事に調停が成立しました。
なお、分割払いの約束についても、無事に履行されました。
本事例に学ぶこと
賃貸借におけるトラブルでは、訴訟による解決もありますが、今後も賃貸人と賃借人の関係が継続することを踏まえて、調停による話し合いという手段もあり得ます。
本件でも、調停での話し合いにより紛争解決に至りました。
弁護士 赤木 誠治