Aさんは、繁華街にビルを所有し、何軒かのテナントに賃貸していましたが、ビルの水道の配管から水漏れがし、すぐ下のテナントBさんの内装設備、什器備品などに損害を与えてしまいました。そこで、Bさんは、Aさんに対して損害を補償するように求めました。

水漏れの原因は、このビルが建築後40年近く経過しており、水道管が傷んでいたためでした。

Aさんは、「水道管が傷んでいて水漏れがするなどということは、予想できなかったのだから、私には過失がなく、損害賠償する必要がない」と主張したのですが、このような主張は通るのでしょうか。

民法には、土地の工作物(ビルの配管はこれあたります)に瑕疵(欠陥)があるときは、ビルの所有者は、瑕疵によって生じた損害を賠償しなければならないという規定があります(瑕疵があれば、水漏れについて過失がなくても、Aさんは責任を負わなければなりません。無過失責任です)。

水漏れがする水道管は、いくらビルが老朽化しているといっても、瑕疵があるということになりますから、この場合、AさんはBさんに対して、損害賠償をする義務を負うことになります。