紛争の内容
単身者にアパートの一室を賃貸していたところ、突然賃料の入金が止まり、催促に行ってもいつも不在。中で倒れているのではないかと心配した賃貸人が、警察立会のもと、安否確認ということで合鍵を使って室内に入りましたが、荷物はそっくりそのまま残されており、どうやら夜逃げしてしまったようです。
滞納が6か月に及んでしまったので、どうしたらよいのか相談に見え、明け渡し訴訟の受任をしました。

交渉・調停・訴訟などの経過
賃借人が物件に居住していないことは明らかでしたので、解除通知を物件住所に送っても意味がなく、訴訟提起をしたときの訴状の中で、未払賃料の支払い催告及び解除の意思表示を行いました。
その後、弁護士が物件住所に赴き、近隣住民からも話を聞くなどの現地調査を行って、手を尽くしても賃借人が現在どこにいるのか不明である旨の報告書をまとめ、公示送達を申し立てました。
上記公示送達により、賃借人に訴状が送達されたものとみなされました。

本事例の結末
賃借人は裁判に出頭せず、答弁書等の書面の提出もなかったため、結審し、明け渡しを命じる判決が言い渡されました。
賃貸人は、その判決に基づき、明け渡しの強制執行を申し立てて、物件内に残置された家具・家電類等の荷物を適法に撤去することができました。

本事例に学ぶこと
本件のように、賃借人が夜逃げしてしまって現在どこにいるのか分からないという場合であっても、訴訟を提起し、強制執行によって明け渡しを実現することが可能です。