紛争の内容
居住用建物を貸している賃貸人からのご相談でした。
賃借人は、10年以上賃料を滞納しており、まったく賃料の入金が無い状態でした。
賃貸人は、可能な限り早く出て行ってほしいというご希望でした。

交渉・調停・訴訟などの経過
賃借人が賃料を滞納したとしても、直ちに明け渡しが出来るわけではないので、まず、滞納賃料全額を支払うよう請求し(「催告」と言います)、催告した期間内に支払が無い場合には賃貸借契約を解除する旨の連絡を手紙で行いました。
ただし、この場合、一部は消滅時効が成立する可能性が高かったことから、消滅時効の主張をされない金額に限って、その全額を催告しました。
しかし、一切の賃料が支払われませんでしたので、明け渡しを求める訴訟を提起しました。

本事例の結末
賃借人は裁判の期日に出頭し、和解してほしいと述べてきました。
賃貸人としても、明け渡してもらうことが最優先であって、滞納賃料の回収は難しいことを理解しておられましたので、約1カ月後を退去の期限として、和解を成立させました。
その後、約1カ月後に現地に行って立会ましたところ、若干の動産類が残っていました。
そこで、1週間だけさらに猶予を与えたところ、その1週間後にはきちんと明け渡しが終えられていました。
結果的には、強制執行にならずに明け渡しという結果が得られたので、賃貸人の負担を最小に抑えることが出来たものと考えています。

本事例に学ぶこと
賃貸人が明け渡しを望んでいるような場合には、当事務所では、実行されるかわからない申出を基にした和解はしないことにしておりますが、他方、強制執行となった場合には費用も掛かりますので、明け渡しの見込みが高く、最小限の費用で明け渡しの結果が得られる可能性が高いと見込んだ場合には、和解も行っています。
この見込みについては、不動産明け渡しの経験の多い当事務所だからこそできると考えております。
スピーディかつ少ない実費で明渡しを実現し、賃貸人の負担をできるだけ少なくするようにしていくことを念頭において、事件処理を行っております。