紛争の内容
居住用建物を貸している大家さんからのご相談でした。
賃借人は、半年近く賃料を滞納しており、まったく賃料の入金が無い状態でした。
大家さんは、可能な限り早く出て行ってほしいというご希望でした。

交渉・調停・訴訟などの経過
賃借人が賃料を滞納したとしても、直ちに明け渡しが出来るわけではないので、まず、滞納賃料全額を支払うよう請求し(「催告」と言います)、催告した期間内に支払が無い場合には賃貸借契約を解除する旨の連絡を手紙で行いました。
しかし、一切の賃料が支払われませんでしたので、明け渡しを求める訴訟を提起する準備を始めました。

本事例の結末
訴訟提起後に、法廷で和解の申し入れがありましたので、一応大家さんに確認して和解が可能かを確認しました。
しかし、大家さんは、これまでにも何度も和解の申し入れがあったことから信頼関係がないとして、和解はしないことになりました。
そして、2回目の法廷で和解しないことになり、後日、明け渡しを認める判決が言い渡されました。
判決言い渡し後も退去がされなかったことから、やむを得ず、強制執行を行いました。
強制執行は、最初に「催告執行」、次に「断行執行」を行います。
「催告執行」とは、口頭(不在の場合には書面)で法律に基づき明け渡すよう告知し、「断行執行」とは、「催告執行」の1カ月後をめどに実際に荷物を搬出することです。
本件では、「催告執行」の2週間後に、ようやく賃借人が退去しました。

本事例に学ぶこと
大家さんが明け渡しを望んでいるような場合には、当事務所では、実行されるかわからない申出を基にした和解はしないことにしております。
費用は掛かってしまいますが、速やかに沿訴訟提起し、判決に基づき強制執行の手続をしていくことで、結果的には、最速かつ最も金額の抑えられる結果となると考えています。

弁護士 野田 泰彦