紛争の内容
タワーマンションを所有する主婦Aさんは、男性Bに平成30年からそのマンション及び敷地内駐車場を賃借していました。
ところが令和4年ころからBが賃料を滞納するようになり、さらに電話等での連絡にも応じなくなってしまいました。
結局5か月以上の賃料が支払われないままで、Bとは連絡も取れなくなってしまったため、Aさんは弁護士に依頼することにしました。

交渉・調停・訴訟等の経過
弁護士からは、Bに対し賃料を支払うこと、支払わない場合には契約を解除し建物と駐車場の明渡しを求める訴訟を提起すると通知しましたが、期限までに賃料の支払いがなされることはなく、Bからは回答もありませんでした。
そこで訴訟を提起したところ、Bは訴訟の期日に出廷し、「引っ越し予定であるが、いつ引っ越しができるかは分からない」と述べました。
結局具体的な引っ越し日程や、未納賃料の支払い約束等も得られなかったため、そのまま訴訟は維持され、Aさんの明渡請求と賃料支払い請求はいずれも認められる判決が出されました。

本事例の結末
判決言い渡しから判決が確定する2週間の経過を待たず、Bは任意に建物から退去したため、結局本件は強制執行の申立もすることなく解決することができました。

本事例に学ぶこと
建物等の賃料を支払わないまま連絡が取れなくなるという賃借人も、訴訟等の法的措置に対応することはありえ、さらにその中で任意の明渡等に応じるケースもあるため、「家賃が払われない」などとお悩みの賃貸人の方も、このような措置を速やかにとることをご検討されるのがよいと思いました。

弁護士 相川一ゑ