事案の内容
マンションの一室を借りている賃借人が、約4年にわたり賃料等を滞納していたため、オーナーが複数回にわたり書面にて賃料等を支払うよう催告及び賃貸借契約の解除の意思表示をしたものの、賃借人は未払賃料等を一切支払わず居室を占有し続けているというご相談でした。
オーナー自身で解決困難とのことでしたので、建物明渡請求訴訟の代理人として受任しました。

本事案の結末
賃借人に対して、再度未払賃料等の支払及び賃貸借契約の解除に伴う建物の明渡を要求する旨の通知文を送付しましたが、なんら回答がなかったため、当該賃借人を被告とする建物明渡請求訴訟を提起しました。
その後、勝訴判決を獲得し、判決が確定したため、不動産強制執行を申立てたところ、被告が任意の明渡しに応じてくれたことから、同強制執行の申立てを取り下げ、強制執行に伴う荷物の運び出し・処分等の費用を負担せずに、建物の返還を受けることができました。

本事例に学ぶこと
マンション経営をしていると、賃料を支払ってくれないにも関わらずそのまま物件に居座り続ける賃借人に遭遇するケースが多く存在します。
裁判例などでは賃料を3か月分程度滞納している場合、信頼関係を破壊するに足りる債務不履行があると判断されることが多く、賃貸借契約の解除が認められる可能性が高いといえます。弁護士からの通知文や訴訟提起は、賃料未払の賃借人にとっては一定程度の圧力になり、任意の明渡に応じてくれる場合もございます。
「賃料未払いを理由とする契約解除の通知を送ったにもかかわらず、なかなか立ち退いてくれない」などのお悩みをお持ちの場合には、これ以上の賃料滞納額を増やさず、家賃収入を得る機会を喪失しないためにも、なるべく早く弁護士にご相談していただければよろしいかと思います。

弁護士  相川 一ゑ
弁護士 安田 伸一朗