紛争の内容
駐車場オーナーのA氏は、B氏に対して、駐車場1枠を月額1万1000円で賃貸しました。
B氏は数年間遅れることなく駐車場代を支払ってきましたが、ある日を境に急に支払わなくなり、A氏から何度も請求しましたが、全て無視されるようになってしまいました。
そうこうするうちに1年近くが経過したため、A氏から依頼を受け、駐車場の明渡しを求めることにしました。
交渉・調停・訴訟等の経過
まず、弁護士名で未払駐車場代の支払いを催告する内容証明郵便を送りましたが、B氏からは期限内の支払いがなかったため、駐車場賃貸借契約は解除されるに至りました。
続けて、駐車場の明渡しを求める訴訟を簡易裁判所に提起。
B氏は訴状を受領しましたが、書面も出さずに欠席したため、そのまま駐車場の明渡しを命じる勝訴判決が出されました。
判決が出てもなお、B氏は車を停めて駐車場を占有し続けたため、判決に基づき強制執行を申し立てましたが、1回目の催告執行の直前になって、B氏は自ら車をどかし、A氏に駐車場を明け渡しました。
本事例の結末
無事に駐車場の明渡しを実現することができました。
(任意の返還を受けたため、強制執行は取下げ)
本事例に学ぶこと
駐車場の明渡しを求める強制執行を行う場合、相当程度の価値がある車が停められたままになっていると、自動車強制競売の手続きも必要となり、駐車場オーナーの経済的負担は飛躍的に増大してしまいます。
本件でB氏が停めていた車は人気のスポーツカーであり、手入れも行き届いていたことから、「いざ強制執行となれば、十中八九、B氏自身が引き揚げてくれるだろう」と予想しており、無事、そのとおりとなりました。
弁護士 田中 智美