紛争の内容
依頼者の方は、賃借人である企業に対して、敷地と事業用倉庫を貸していました。 
賃貸借期間の途中で、賃借人側から解約の申し入れがあったため、契約自体は解除されました。 
もっとも、賃借人側は、敷地や倉庫内の原状回復をせず、また、鍵の引き渡しをしないまま、連絡が取れなくなってしまいました。 
賃貸借契約が解除されていると言っても、勝手に敷地や倉庫内の原状回復を行えば、賃借人の財産を棄損することになります。 
また、鍵の引き渡しを受けていないため、賃借人の占有が続いており、無断で立ち入ることもできません。 
それらの行為をすれば、刑事上、民事上の法的責任を問われるリスクがあります。 
かといって、そのままの状態が続けば、賃料収入を得ることができないため、機会損失が増大します。 
そこで、原状回復や賃料相当損害金の交渉について、当事務所へご依頼されました。 

交渉・調停・訴訟等の経過
ご依頼を受けた後、賃借人側へ受任の連絡をおこなうとともに、原状回復や鍵の引き渡しなどを求めました。 
間もなく、賃借人側にも代理人が就任し、代理人間で交渉を進めていきました。 
賃借人側も、従前の対応に問題があったことは認めていたため、交渉は比較的スムーズに進みました。 

本事例の結末 {
本件では、交渉開始から約4か月後には、原状回復工事も終了し、明渡しがなされました。 
また、明渡しまでの賃料相当損害金については、数パーセントの減額をしたものの、総額で約1500万円を回収することができました。 

本事例に学ぶこと
本件のような事業用物件については、居住用物件と比べて賃料が相対的に高いため、明渡しがなされないと機会損失が大きくなってしまいます。 
このような賃貸借のトラブルが発生した際には、お早めに弁護士に相談されることをお勧めします。 

弁護士 野田 泰彦 
弁護士 赤木 誠治