紛争の内容
依頼者は、相手方に対し、マンションの一室と駐車場を貸していましたが、やがて相手方は賃料を滞納するようになりました。依頼者は、管理会社を通じて相手方に連絡をしましたが、相手方からは誠意のある対応がありませんでした。そこで、依頼者は、相手方に対し、貸している部屋と駐車場の明渡しを求めたいということで、当事務所へ依頼されました。

交渉・調停・訴訟などの経過
依頼を受けた後、まずは内容証明郵便にて、相手方に対し、滞納賃料の支払いを求めました。しかし、相手方からは期限までに支払いがなされませんでした。そこで、すみやかに訴状を作成し、裁判所へ訴訟提起しました。
すると、訴訟の第1回期日の法廷に、相手方が現れました。期日後に、こちらが相手方と話し合いを行った結果、相手方は任意に退去するとの意向を示しました。
もっとも、口頭では任意に退去すると言っていても、実際の退去はいつまでもなされないということもあります。そこで、こちらは勝訴判決に基づく強制執行の手続きを進めつつ、相手方が退去するのを待ちました。

本事例の結末
相手方は、上記勝訴判決が出された後もなお任意の退去をせず、引っ越し先も決まっていない様子でしたので、予定通り、強制執行の手続の内の「催告期日」を迎えました。裁判所の執行官と弁護士らで相手方宅を訪ね、執行官から法的な退去義務について改めて説明をしてもらったところ、最終的に、相手方は任意に物件から退去することとなり、強制執行による断行期日を迎える前に、本件は解決に至りました。

本事例に学ぶこと
家賃を滞納する賃借人との間で話し合いができない、誠意のある対応がなされない場合、本件のように、実際に訴訟などの法的手続をすることで相手方が任意に明渡しに応じることもあります。本件では、弁護士費用や催告期日の費用(数万円)はかかりましたが、断行期日のために支払う執行補助者(荷物を運び出す業者の方にお支払する人工代・処分費用等)数十万円もの費用はかけずに明渡しを実現することができました。相手方に対し法的に支払義務・退去義務があることを明確に示すことにより、任意の解決が図れることもあると感じました。