紛争の内容
外車ディーラーに対し、車検取得の追加整備のための、修理見積依頼で預かった車両(当該ディーラー取扱車両)について、修理も依頼しないばかりか、引き取りもしない車両名義人(企業)に対して、駐車場土地の明渡請求の本訴、強制執行申立事件。
交渉・調停・訴訟などの経過
1 訴訟提起。被告の商業登記簿上の本店住所地には事業所がない。代表者自宅で事業継続。代表者自宅を送達場所と指定する旨の上申をする。
2 被告答弁書も提出せず、不出頭。欠席判決。
3 強制執行申立て前に、本件放置車両の廃車手続を債権者が無償で行うので、必要書類を送付するよう連絡し、同郵便は受領するも、返信なし。
4 強制執行申立て。催告、断行執行。
本事例の結末
債務名義を得、土地明渡の強制執行により、占有回復実現。
本事例に学ぶこと
自動車販売店にとっては、車両の販売と共に車両整備は業務の大きな柱です。そして、整備についての費用見積もりを作成するためには、車両を預かる必要もあり、不誠実な依頼者(見込み客)に、過分な経済的負担をかけられ、依頼者企業では大きな経済的損失を被った事案でした。
本件では、依頼者企業が車両預かってから、相手方の返信がないなど不誠実な態度から、無為に時間を経過しました。訴訟提起まで2年10カ月経過した事案です。
相手方の直接交渉による車両引き取りの実現が見られないことが判明したら、早期の手続きが好ましいでしょう。