1回でも賃料の支払を怠ったら解除できるのかというとそうではなく、一般的には3か月程度の滞納があることが必要だと言われています。
 これは、後ほど出てくる⑤の要件(信頼関係の破壊)とも関わってくるところで、継続的契約である賃貸借契約の場合、たった1回~2回の賃料不払いでは、未だ賃貸人・賃借人間の信頼関係が破壊されたとまではいえないだろう、という考え方に基づくものです。

 ところで、賃貸借契約書の中には、「賃借人が1回でも賃料の支払を怠った場合には、賃貸人は契約を解除することができる」という条項が記載されているものがあり、皆さんもご覧になったことがあるかと思います。
契約書にこのような条項が入っていれば、その記載のとおり、1回の賃料滞納で契約を解除することができるのでしょうか?
 答えは、Noです。
このような条項が契約書にあるからといって、それだけを根拠に、1回の滞納で契約を解除することはできないと考えらえています。この場合も信頼関係破壊の理論に照らして、やはり3回程度の滞納がなければ契約の解除はできないのが原則なのです。