「相当な期間」とは、例えば、5日、7日、10日といった期間です。
 賃借人は、本来、契約で定めた期限(月末なら月末)までに賃料を用意しておくべきなのですから、それほど長い期間を与える必要はないともいえます。
しかし、滞納が重なり、請求の総額がそれなりの金額になっている場合では、やはり、それだけのお金を工面するのに通常必要とされるだけの期間の猶予は与えてあげないといけません。

 そうした期間を定めてする「支払いを催告」とは、通知書の文章として書くと、例えば、
「貴殿は3か月分、合計30万円の賃料を滞納しています。本書面到達後7日以内に、上記30万円全額を支払うよう請求します」
といった形になります。

 この催告は、次の要件である③解除の意思表示と併せて、必ず内容証明郵便(あるいは特定記録郵便)で行います。通知書がいつ賃借人のもとに到達したかを明確にするためです。

 なお、賃貸借契約書に、「賃借人が賃料を滞納した時は、賃貸人は、催告することなく直ちに契約を解除することができる」との条項がある場合でも、原則として催告は必要です。
このような条項に基づき無催告での解除が認められるのは、それまでも滞納を多数回繰り返してきたとか、賃借人の対応があまりにも不誠実であるなどの事情から、もはやこのような賃借人には催告によって最後の支払いの機会を与えなくてもよいと言えるような、例外的な場合に限られます。