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新築の建物であれば、雨漏りをする物件は「不完全」な建物だといえるでしょう。これに対して、中古の建物の場合、ある程度の経年劣化等があるものとして売られているはずです。そうだとすると、中古物件に雨漏りがあることが発覚しても、およそ売主に責任追及できないのでしょうか。今回は中古物件における雨漏りについて責任追及の可否などについて説明します。

中古物件、買った後に雨漏りがあることが分かったら?

購入した建物に欠陥があったら

雨漏りや漏水といったトラブルは、建物にとっては重大な問題であり、通常の人であればそのようなトラブルがない物件を買いたいと思うものでしょう。そこで、雨漏りや漏水など、浸水を引き起こす原因となる建物の欠陥は、つまりその建物を買った契約の内容に適合しない「契約不適合」という状態に当たるというのが一般的です。

新築建物の場合

売買契約の対象が「新築物件」であれば、雨漏りや漏水がある建物であれば当然に「契約不適合」と評価できます。

新築建物の天窓からの漏水に関しての裁判例としては、

「屋内に漏水することがないよう防水施工が行われていることは,建物に通常求められる基本的な性能であり,被告…による天窓付近の防水施工は漏水の危険を生じさせるものとして不適切と言わざるを得ないから,原告と被告…との間で合意された性能を欠くものとして,本件建物の瑕疵であると認められる」

とされたものがあります(大阪地方裁判所平成25年10月23日判決)。

中古建物の場合

これに対して、中古建物は雨漏り・漏水をもって「契約不適合」といえるでしょうか。

これについては、一概には言えないものの、雨漏りや漏水などがない建物として売買契約を結んでいればやはり「契約不適合」」となる可能性があります。

築30年のマンションで降雨があった際にサッシから浸水が生じていたという物件について

「当該サッシからの浸水が室内の絨毯や畳の交換を要する程度に及んでいることに照らせば,当該サッシの老朽化の程度は,その経年劣化を考慮しても,通常有する品質性能を欠くものであり,本件建物部分の瑕疵であるというべきである」

として買主の売主対する責任追及を認めた裁判例もあります(東京地方裁判所平成25年3月18日判決)。

しかし、中古建物の場合、購入時点で既にある程度の経年劣化があること、一定の損傷等はあることを踏まえて、新築物件よりも安価に取引されているという部分も否定できません。このような要素を踏まえ安価になっている以上は「中古建物として通常有すべき品質・性能」というものがあり、必ずしも雨漏りや漏水があることで契約不適合になるとは限らない、ということになります。

中古建物の場合の特別な要素

 中古建物の場合、建物の築年などを踏まえた経年劣化状態が「不可抗力的なもの」として雨漏り・漏水を招いた、と判断されてしまうこともあります。

経年劣化があった状態から不可抗力的に雨漏り・漏水を招いたという場合

東京地方裁判所平成19年5月29日の判決では

「(雨漏り・漏水は)築後年数がかなり経過して経年劣化していた状態であったところ,記録的な台風による豪雨に見舞われた結果,不可抗力的に生じたものとも考えられのである。これらの事情に加えて,原告の主張において,雨漏りの箇所や原因が必ずしも具体的に特定されているとはいえないことに加えて,原告がその主張根拠とする建築士意見においても,雨漏りの箇所は具体的に特定されておらず,同意見が漏水の原因として述べるところは,結局,推定,推量の域を出ないものである上,当初の建築士意見においては,漏水の原因として,本件建物の構造上の弱点のみならず,建物共用部分の管理状況及び本件建物の経年劣化等の問題点が,単一又は複合的な原因として指摘されていたことなどに照らしても,本件建物に,雨漏りを生じさせる構造上の欠陥というべき瑕疵があったとまで認めることは困難である」

として、売主の瑕疵担保責任(現在の「契約不適合責任」)を否定しました。

中古建物を購入するときの注意点

以上のとおり、中古建物の場合、雨漏りや漏水をしても、建物の築年数や経年劣化でやむを得ないものとして「契約不適合」とならないケースもあるのです。

そこで、買主としては、雨漏りや漏水があることを後で知っても泣き寝入りになってしまうということを避けるためには、まず購入の段階で売主より「雨漏りや漏水等がない建物である」ということを前提としてもらうことが重要です。目的物である建物に、そのような問題がないか、きちんと確認をするようにしましょう。

中古物件購入後、その建物に不備があることが発覚したら?

 購入した中古物件に何らかの不備があると気付き、売主に確認しても対応をしてもらえない場合、その対応が法的に責任追及できる契約不適合等に当たらないのか、弁護士に相談してみることをお勧めします。もちろん、最終的には裁判等で争って判断してもらうほかないとしても、不備の内容についての見解やどのような資料があればよいかといったことなどを相談すれば、紛争解決の糸口になることもあるかもしれません。

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■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 相川 一ゑ

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