Aさんは、亡父から借地権付き建物を相続しましたが、建物には、生前亡父が1人で住んでおり、Aさんも居住予定がありませんでした。そこで、Aさんは、土地所有者Bさんに対し、老朽化していた建物と借地権を買い取ってくれるよう希望しましが、条件面で折り合えず、同じくBさんから借地をしていたる隣地居住者Cさんに建物と借地権を売却することにしました。

そこで、AさんからCさんへの借地権の譲渡について、Bさんの承諾を得ようとしたのですが、AさんとBさんとの関係が悪化していたため、Bさんの承諾を得ることはできませんでした。

そこで、Aさんは、Bさんを相手方として、裁判所に対して、AさんからCさんへの借地権の譲渡につき、借地権譲渡の許可を求める申立をしました。

Aさんとしては、借地権が設定されている土地が接道義務をみたさないものであり、流通性が低いとして、承諾料について路線価ベースで算出した借地権価格の50%程度を提示しました。

これに対し、Bさんは、借地権の譲渡許可は許されるべきではないと主張しつつ、承諾料の価格についても承服できないと争いました。

裁判所は、借地権の譲渡は許可するのが相当と判断し、当初から承諾料の価格について争いとなりました。そして、承諾料については借地権設定地が接道義務をみたさないため、低い価格となることが予想されました。

そこで、土地所有者であるBさんは、当初、Aさんが希望していた、建物と借地権の買取りに応じることとし、Aさんは、建物と借地権をBさんに売却することになりました。そして、Aさんは、借地権の譲渡許可の申立を取り下げました。