マンションの一室を区分所有しているAさんから、(Aさんから区分所有部分を賃借し)家賃を滞納しているBさんについて、どうすればよいか、というご相談を受けました。

このような賃料不払いの場合は、一定期間内に未払い賃料全額を支払うよう請求し(「催告」と言います)、その支払がない場合には契約を解除する、ということを記載した内容証明郵便を発送します。

催告の期間は、1日では短すぎるという判決が出ていますが、通常は、5日程度です。この催告期間が過ぎても支払がない場合には通常は裁判を起こしますが、この場合もお支払いがなかったので、やむを得ず、裁判を起こしました。

Bさんの場合、マンションの一室と駐車場を借りていたので、両方を明け渡しの対象とする裁判を起こしましたが、ここで問題となったのは、立体式駐車場をどのように特定するかということです。
裁判で明け渡しを求める場合には、明け渡しの目的物を正確に特定しなければなりません。

そこで、立体式駐車場の所定の番号に加え、設計図面に注釈を加えた書面を添付するという方法で駐車場を特定したところ、無事、部屋と駐車場についての明け渡しの判決を得ることができました。

このように、場合によっては、裁判において、設計図などの詳細な図面が必要となることもあります。
弁護士との打ち合わせに際しては、様々な書類をお持ちいただくこともあるかとは思いますが、ご協力よろしくお願い致します。

すでに滞納している管理費とともに、将来の滞納管理費の支払いを求めた事例

あるマンション管理組合のかたから、管理組合の管理費を数年にわたって滞納している方がいるというご相談がありました。
当事務所で受任した後、早速、管理費を支払っていただくよう内容証明郵便を発送しましたが、まったく音沙汰がありませんでした。そこでやむなく、管理費支払を求める裁判を起こしました。

管理費支払いを求める裁判は、普通の賃料不払いとは異なり、原告が管理組合であることが多いので、管理費支払請求訴訟を起こすことを内容とする管理組合での決議が必要となります。この場合も、その決議を管理組合にとってもらいました。
その上で、管理費支払い請求訴訟を提起しましたが、次に問題となるのは、将来の管理費が請求できるか、という点です。

裁判では、将来の給付を求める判決(将来支払うべき金銭について、「支払日が来たら●●円を支払え」というような判決)を求めることも可能ですが、そのためには、将来の給付判決を、今もらう必要があるということ(つまり、相手方は、将来支払いをしない可能性が高いということ)を裁判所に納得してもらわなければなりません。

このケースでは、幸い、それまでの滞納を根拠に、管理費を滞納している人がマンションの所有権を失うまでの将来の管理費支払いが命じられましたが、場合によっては、○年分というように、一定期間しか認められないこともあるようです。

このケースでは、受任から判決まで、約半年で解決しています。
管理費の滞納が続いている場合には、早急に弁護士に依頼し、早期に解決を図るのがよいのではないでしょうか。