紛争の内容
賃貸マンションのオーナーから依頼を受け、賃料滞納をし続けている賃借人に対し、賃貸借契約を賃料不払いによる解除により終了したことを理由に、貸室の明渡し求めたものです。

交渉・調停・訴訟などの経過
賃貸人本人が、裁判所に訴状を提出したものの、被告賃借人が裁判所から届いた訴状副本を受け取らず、送達がかなわないままでした。
本件民事訴訟が審理できる状態にならないうちに、賃貸人オーナーが死亡していました。
本マンションの管理会社を通じて、前オーナーの相続人である方から依頼を受けました。
訴状副本などの送達を実現させるため、賃借物件の賃借人居住調査を行いました。
同じフロアの住人は不在でした。そこで、辛抱強く、貸室の入居者の帰宅を待ったところ、賃借人の同居人が帰宅し、賃借人の居住を確認しました。
そこで、被告は本件建物に居住しているという報告書を添えて、書留郵便での送達の方法によることを裁判所に申請しました。
送達がかない、改めて指定された第1回の裁判期日には、賃借人本人も出頭しました。
現地調査を行い、書留郵便で送達する方法で訴状が賃借人に届き、訴訟審理ができる状態になりました。
依頼者も、被告も話し合いによる解決を望む意向を表明したことから、司法委員を交えて、話し合いをしました。
第2回目の裁判期日で、明渡の期限の猶予を与えることと未払賃料について免除することの、裁判上の和解が成立しました。

本事例の結末
和解条項を守り、被告である元賃借人は任意退去しました。

本事例に学ぶこと
賃貸人は自ら訴訟を行っていましたが、送達がかなわない状況の中で、賃貸人がお亡くなりになり、相続人は本業があるため、訴訟を自ら行う余裕がありませんでした。
そこで、当事務所に、依頼されましたが、我々代理人弁護士は、手慣れた手順で速やかに訴訟を追行しました。強制執行になった場合のトータルの費用負担を新オーナーは心配していましたが、依頼者が、未払賃料を免除したことで、入居者が転居の費用を工面できたようでした。任意退去が実現し、強制執行を申し立てずに済んだことで、依頼者も安どしていました。
このような事件の経験豊富な、当事務所にご相談・ご依頼ください。

弁護士 榎本  誉
弁護士 平栗 丈嗣