紛争の内容
依頼者は、車両修理の見積もりを出してほしいとの依頼を受けて、相手方から自動車を預かりました。
後日、依頼者は、相手方に見積内容を伝えようと連絡を取りましたが、相手方からの応答はありませんでした。
その後も依頼者の方は、何度も相手方に連絡しましたが、一切の音沙汰は無く、車両が私有地に置かれている状態が長期間続いていました。

交渉・調停・訴訟などの経過
相手方が連絡を絶ったとしても、勝手に自動車を撤去ないし処分することは出来ません。
自動車を撤去する場合には、裁判所を通じて手続きをおこなう必要があります。
そのため、依頼者の方は、当事務所に依頼され、適法な形での撤去を目指しました。
受任後、我々は、相手方に対し、自動車の撤去を求める訴訟を起こしました。
しかし、相手方は、裁判所からの訴状すら受け取りませんでした。
そのため、勝訴判決を得た後、強制執行により強制的に車両を撤去しました。

本事例の結末
本件では、相手方が裁判所からの訴状すら受け取らず、被告の居住地を調査するというイレギュラーが発生しましたが、ご依頼を受けてから半年余りで自動車の撤去を実現しました。

本事例に学ぶこと
本件のようなケースで、何度も連絡をしているにもかかわらず一切の連絡を断たれると、自動車を撤去してしまおうと考えられる方もいると思います。
しかし、他人の財産を勝手に処分することは、後になって持ち主から法的責任を追及されるリスクすらあります。
本件では、依頼者の方は、裁判所の手続きを通じて自動車を撤去し、そのようなリスクを回避されました。
なお、本件のように、相手方が音信不通であっても、訴訟を起こしたり、強制執行を行うことは可能です。

弁護士 田中 智美
弁護士 赤木 誠治