紛争の内容
依頼者の方は、先代の時から、借地人に土地を貸していました。
その借地人の方は、土地上に家を建てていました。

ところが、借地人は、数年前から地代を滞納するようになりました。
そして、その後、認知症が進んだことで施設に入所することになりました(そのため、借地人の方は、元の家に住む必要が無くなっていました)。

建物は老朽化が進行しており、周辺の土地にも迷惑がかかるおそれがあったことから、この不動産問題の解決のためのご相談に来られました。

交渉・調停・訴訟などの経過
本件では、地代の滞納が長期間にわたり続いていたこと、また、相手の方も家に戻る予定が無いことを親族の方から確認していたことから、建物収去土地明渡の訴訟を行うことになりました。

もっとも、相手の方は認知症が進んでおり、訴訟行為を行うことは事実上不可能でした。
そこで、訴訟提起にあたり、特別代理人選任の申立てもおこないました。

裁判所により特別代理人が選任され、その特別代理人も、施設や親族の方の意向を確認しつつ、訴訟が進みました。

本事例の結末
結果的に、建物を収去し土地を明渡すことを内容とする和解をしました。
建物の収去費用は依頼者側が負担することになりましたが、早期に土地の明渡しを実現しました。

本事例に学ぶこと
本件のようなケースのみならず、借地人や賃借人が行方不明になってしまい、どうしたらよいのかわからないというご相談は一定数あります。
そのような場合であっても、裁判所を通じた手続きを経ることで、土地や建物の明渡しを実現することが可能です。

弁護士 赤木 誠治