紛争の内容
地上権の設定を受けている土地の買取りを検討しているが、所有者は既に死亡していて相続人も定かではない、何か方法はないかとのご相談でしたので、まずは相続人の調査から開始しました。

調査・交渉・訴訟などの経過
相続人調査の結果、相続人が一人存在するということが判明したため、同人に連絡を取ったところ、既に相続放棄をしているとの回答でした。
そのため、相続財産管理人の選任を家庭裁判所に申立て、相続財産管理人と交渉を行うこととなりました。
なお、本件土地には登記簿上、抵当権や他の地上権が設定されていたため、その処理についても行う必要がありました。
抵当権者にはハンコ代を支払い、抵当権の抹消に協力してもらったのですが、地上権者は、実体がなく清算も未了の会社であったため、特別代理人の選任を経て、地上権設定仮登記の抹消を求める訴訟を提起しました。

本事例の結末
訴訟について勝訴判決を得た後、相続財産管理人を通じて土地売買に関する家庭裁判所の許可を取り付けることができたため、ようやく土地の買取りが実現しました。

本事例に学ぶこと
本件土地は、相続人が存在しない上、抵当権等の権利が設定されていたため、処理に複数の手続を利用する必要がありました。そのような土地については、完全な所有権を取得できたとしても、取得までにそれなりの時間と手間がかかりますので、ご留意ください。