建物所有者Aさんは、老朽化した借家(一戸建て平屋、築40年、月額賃料6万円)の建替えを理由に、これまで20年以上契約更新を重ねてきた借家人Bさんに対して、建物の明け渡しを求める調停を起こしました。

Bさんは明け渡しに難色を示しましたが、Aさんは調停委員を通じて粘り強く説得し、明け渡しに同意してもらうことができました。

次に、Bさんに支払う立退料が問題となり、Aさんは、「引越代実費プラス転居後の賃料と現行賃料との差額の2年分」を主張してきました。しかし、Bさんの提示してきた「転居後の賃料」というのは本件建物よりかなり新しく、面積も広い物件であったこと、また、Bさんはまだ実際の転居先を決めたわけではなかったことから、Aさんは「転居後の賃料と現行賃料との差額を立退料算定の根拠にすべきではない」と主張しました。

その後、数回の期日を重ね、結果として、「引越料実費(20万円くらい)プラス現行賃料の20ヶ月分」を立退料とすることで、明渡しの合意ができました。
明け渡しまでにかかった時間は、約8ヶ月でした。