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一度賃貸借契約を結ぶと、いくら賃借人が賃料を滞納しているといっても、オーナーが実力で、賃借人を退去させることはできません。賃貸借契約が結ばれている間は、賃貸借物件を利用する権利は賃借人にあります。

たとえば、賃借人が賃料を滞納していたとしても、賃貸人は勝手に鍵を開けて部屋の中に立ち入ったりすることはできません。また、部屋の中にある物は賃借人の所有物であり、これを勝手に片付けたり処分したりすることも許されないのです。

もし、強引にそのようなことをすれば、逆に訴えられたり、トラブルになってしまいます。しかし、きちんと、法律に従って手続を行えば、問題を解決することができます

契約の解除と明渡し請求

明渡し請求を行う前提として、まず賃貸借契約を解除する必要があります。賃貸借契約を解除することで、はじめて賃借人は賃貸借物件を利用する権利を失い、賃貸人は明渡し請求をすることができるようになるのです。この賃貸借契約の解除は、賃料の支払の催告や訴訟の提起と併せて行うことができます。「何時何時までに滞納賃料が支払われなかった場合には賃貸借契約を解除する」といった条件を付すことも可能です。

なお、明渡し請求をするための手続は、通常訴訟です。賃貸人は、被告となる賃借人の住所地を管轄する地方裁判所,または賃貸物件の所在地を管轄する地方裁判所に訴えを提起することになります(通常は、同一の地方裁判所になるでしょう)。

明渡し請求が認められる条件

賃貸借契約を解除するためには、賃借人側に賃料滞納など債務不履行があることが必要です。加えて、賃貸借契約のような継続的な契約関係を解除するためには、賃貸人と賃借人との信頼関係が破壊されていると裁判所に認められることが必要となります。すなわち、賃借人の債務不履行と、信頼関係の破壊という2つの要件が満たされて、はじめて賃貸人は賃貸借契約を解除した上で明渡しを請求することが認められることになるのです。一般的には、3ヶ月以上の賃料滞納があれば、信頼関係が破壊されていると言えるでしょう。

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